歯周病
periodontal disease
歯周病とは、歯と歯を支えている組織(歯肉や歯槽骨)を侵す感染性の疾患です。この疾患は、歯を覆っている歯肉が炎症を起こし、さらに進行すると歯を固定している骨までもが侵される可能性があります。
歯周病が引き起こされる主な原因はお口の中の細菌ですが、それがどの程度問題となるかは、それぞれの免疫反応やお口の中の環境、生活習慣にも左右されます。つまり、同じ量の細菌が存在しても、人によって歯周病になる人とならない人がいるのです。
歯周病は「サイレント(静かな)疾患」とも言われます。その理由は、歯周病が進行しても初期段階ではあまり痛みを感じないため、自覚症状がなく放置されがちだからです。
歯周病の主な原因は、お口の中の細菌によるものです。私たちの口の中には常に多くの細菌が存在し、これらの細菌が食べ物の残りや唾液と結びついてプラークという細菌の膜を形成します。これが歯や歯肉に蓄積すると炎症を起こし、歯周病の始まりとなります。
ただし、プラークが原因の一部であるとはいえ、それだけで歯周病が発生するわけではありません。歯周病の発症や進行には、さまざまな要素が関与します。
◆煙草
喫煙は歯周病のリスクを大幅に高めます。煙草に含まれる物質はお口の中の環境を悪化させ、免疫系の働きを阻害し、治癒力を下げます。
◆系統的な健康状態
糖尿病や心臓病、リウマチといった病気は歯周病のリスクを高めます。
◆年齢
高齢になると歯周病になるリスクが高まります。
◆ストレス
ストレスは体全体の免疫力を下げるため、歯周病を引き起こしやすくします。
◆遺伝
遺伝的な要素も一部影響していると考えられています。
歯周病は始まりが静かで進行がゆっくりなため、症状に気づきにくいと言われています。
しかし、以下のような症状があれば歯周病の可能性があります。
◆歯ぐきの腫れや赤み
歯周病の初期症状としてよく見られます。
◆出血
歯磨きやフロスをしたとき、または食事中に歯ぐきから出血することがあります。
◆悪臭
口臭が強くなったり、口の中に常に不快な味がする場合があります。
◆歯ぐきの退縮
歯周病が進行すると、歯ぐきが退縮し、歯が長く見えるようになります。
◆歯の動き
歯周病が進行すると、歯が動くようになります。これは、歯を支える骨が破壊されているためです。
◆噛み合わせの変化
歯が動くことにより、噛み合わせが変わることがあります。
◆歯ぐきと歯の間にポケットができる
歯周病が進行すると、歯ぐきと歯の間に深い「ポケット」ができ、そこに食べ物の残りや細菌が溜まることがあります。
◆痛み
進行した歯周病では歯ぐきや歯が痛むことがあります。しかし、歯周病は初期段階では無痛であることが多いため、痛みが出るまで放置しないようにしましょう。
これらの症状がある場合は、可能性として歯周病が考えられます。
しかし、他のお口の中の問題もこれらの症状を引き起こすことがありますので、正確な診断を得るためには歯医者に相談することが重要です。
歯周病の治療は、進行度や症状によりますが、主に以下のような方法があります。
◆プロフェッショナルクリーニング
歯科医師や歯科衛生士が専用の器具を用いてプラークや歯石を取り除きます。これには歯石の除去(スケーリング)と歯の表面の滑らかにする(ルートプレーニング)の二つのプロセスがあります。これらの治療は歯と歯ぐきの境界、そして歯周ポケット(歯と歯ぐきの間)の中までクリーニングします。
◆口腔衛生指導
適切なブラッシングやフロッシングの方法を指導します。これにより自宅でのケアが改善し、歯周病の進行を防げます。
◆薬物療法
進行した歯周病の場合、抗生物質や抗菌マウスウォッシュが処方されることもあります。これらは歯周病を引き起こす細菌を減らす助けとなります。
◆歯周手術
中度から重度の歯周病では、歯周手術が必要となることもあります。手術には、歯槽骨を再生する骨再生手術や、歯周ポケットを減らすための手術などがあります。
◆定期的なメンテナンス
歯周病の治療後も定期的なメンテナンスが必要です。定期的な歯科診察とクリーニングは、再発を防ぎ、歯周病が再び進行するのを防ぎます。
Step1
診断後、初期治療としてスケーリングとルートプレーニングが行われます。これは、歯と歯ぐきの間からプラークと歯石を取り除く治療です。このプロセスでは歯科医師または歯科衛生士が特殊な器具を使って歯の表面と歯根の表面を清掃します。
Step2
歯科医師は、適切なブラッシングやフロッシングの方法を指導し、口腔衛生の習慣を改善することで、歯周病の進行を防ぐよう指導します。
Step3
初期治療の後、歯科医師は治療の効果を評価します。ここで歯周病が改善していれば、メンテナンスフェーズへと移行します。一方で、病状が進行している場合は、さらなる治療が必要となります。
Step4
非外科的治療だけでは改善しない場合、外科的治療が必要となることがあります。これにはフラップ手術や骨再生手術などが含まれます。
Step5
治療後も定期的に歯科医に診てもらい、歯石の除去や歯ぐきの健康状態のチェックを行います。これにより、再発を防ぎ、歯周病の再発防止につながります。
歯周病は、口腔の健康を脅かす一般的な問題であり、放置すると歯の喪失につながる可能性があります。
しかし、適切なお口の衛生とライフスタイルの選択を通じて、歯周病は予防可能です。
以下に、歯周病を防ぐための5つの具体的な方法をご紹介します。
◆歯を毎日磨く
ブラッシングは、お口の衛生を保つ最も基本的なステップです。少なくとも1日2回、特に食後に歯を磨くことが重要です。適切なブラッシング技術を用いることで、歯と歯茎の間、そして歯と歯の間に隠れた細菌のプラークを取り除きます。
◆デンタルフロスを使用する
デンタルフロスは、歯ブラシだけでは取り除けない細菌プラークを効果的に取り除くのに役立ちます。特に歯と歯の間に溜まったプラークは、歯周病の主な原因となります。そのため、1日1回は必ずフロッシングを行いましょう。
◆歯科医師に定期的に検診を受ける
歯科医師は、歯周病の初期症状を見つけ出すことができます。定期的な検診とクリーニングにより、歯石の除去と歯周病の早期発見・治療が可能となります。
◆健康的な食事を摂る
ビタミンとミネラルを豊富に含む健康的な食事は、免疫システムを強化し、歯周病に対抗する能力を高めます。特にビタミンCとカルシウムは、歯と歯茎の健康にとって重要です。
◆喫煙を避ける
喫煙は歯周病のリスクを高める主要な要因の一つです。タバコは口腔内の血流を減少させ、歯周病を引き起こす細菌の増殖を促進します。また、喫煙は唾液の分泌を阻害し、お口の中の自然な洗浄作用を低下させます。
これらの予防策を日々の習慣に組み込むことで、歯周病のリスクを大幅に減らすことができます。
もし歯茎の腫れや出血、持続的な口臭など歯周病の兆候を感じたら、お気軽にご相談ください。
歯周病は、お口の中だけでなく全身の健康に影響を及ぼす可能性があります。歯周病が進行すると、歯の喪失が生じ、これが食事や話すといった日常的な行為に支障をきたす可能性があります。さらに、心臓病、糖尿病、脳卒中、呼吸器疾患のリスクを増加させるとされています。また、妊娠中の女性には早産や低体重出生のリスクがあり、アルツハイマー病との関連性も示唆されています。歯周病の予防と早期発見は、これらの健康リスクを避けるために重要です。
歯周病かも?という方は一度横堤にある歯医者【ふるや歯科クリニック】にお気軽にご相談下さい。